昨日は、児童養護施設のこども達に誕生学をお話してきました。
こちらの施設にいる子ども達に授業をさせて頂くのは、今年で4年目になります。
ですが、私が保健師として市役所に勤務していた頃、児童虐待の支援担当をしており、
施設と密に連携を取らせて頂いていたので、園長先生や職員の方とは随分長いお付き合いになります。
市役所を退職後も、こうして施設の皆さんと一緒に子どもたちに関わらせて頂けるのは、
とても嬉しく有難いです。
会うのは1年に1回、この授業の時だけなのですが、昨年と比べても身長がグンと伸びていたり、
ちょっと大人に近づいて反抗期に差し掛かっていたりと、1年間の成長を感じられました。
施設には3歳から高校生までが入所しており、集団生活を送っています。
小さな頃からずっと施設で過ごしている子もいれば、小学校の高学年になってから入所する子もいたりと、それぞれの家庭状況は様々です。
解決しなければいけない問題に向き合っているのは、主に保護者である場合が多いのですが、
子ども達自身も、施設での生活を通して、人との関わり方や生活習慣を整えたり、
職員の皆さんの温かな愛情のもと、自分自身の“生きる”に向き合っています。
母親の顔を知らない子もいます。
一緒に暮らしたいのに、それが難しい子もいます。
親と向き合うのがとても辛いと感じる子もいます。
親子関係に複雑な問題を抱えている子ども達に「自分の命の誕生」を伝えることは、
私の中に、不安と戸惑いがありました。
この話を聞くことで、無理に“お母さん”と向き合わせてしまうのではないか。
感情を揺さぶってしまうのではないか、
聞きたくないのではないか・・
様々な葛藤があったのですが、4年前に園長先生からご依頼を受けた際にじっくりと話し合う中で、
親子関係がどのような状況であれ、命をもらって生きていくのは子どもたち。
「自分の命を大切にして、その命を思う存分に活かして生きていって欲しい。」
この願いは、どの子ども達にも同じようにある。
そして何より、子ども達自身が、
「自分は産まれてきてよかった。」
「これから、どんな風に生きていこうかな!」
自分の命とその人生に、ワクワクとした気持ちをもってくれたら嬉しいな、と思ったのです。
そのために、まずは、自分の誕生の原点を知る。
「自分は、どうやって産まれてきたんだろう?」
これを知ることで、自分は産まれてくる力があった、と感じることが出来る。
何もしなくても、何もできなくても、
産まれてきただけで、凄い力をもっている。
誕生学プログラムが目的としている【自己肯定感】や【自尊感情】を高めるということは、
簡単に手が届くものではないのですが、
こうして、毎年毎年、同じ話を聞いてくれる子ども達を見ていると、
その変化を強く感じることができます。
赤ちゃん人形を乱暴に扱ったり、抱くのを嫌がっていた子が、
3回目にして、頭を優しく撫でてくれたり、
全く、顔も上げずに聞いていた子が、
「それ、わかるよ!」と手を挙げてくれるようになったり、
子ども達自身が持つ、とても柔軟で純粋な心に、私の方がたくさんの学びをもらっています。
今年も子ども達がそれぞれに成長した姿を見ることができて、
とても嬉しかったです。
また来年、ここでみんなに会えることを楽しみにしています。
ありがとうございました!
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